カーネーション あらすじ 『奇跡』 第144回(3月23日放送)


― 平成13年10月
>ショーまで2週間を切って、いよいよウォーキングの練習が始まりました。
病院のデイルームでは定岡が患者や看護婦にウォーキングの指導をしていた。
「ちょっと!患者さんに余計なストレスを与えんといてください!」
定岡の指導が見ていられずに総婦長の相川が注意した。
「総婦長!歩き方はショーの基本や。歩き方がおかしかったら恥かくんは本人なんや!」
しかし練習を見ていた糸子が相川に忠告する。

すると杖を持った高齢の女性達が糸子に杖無しでは歩けないと言い出した。
「…ほな杖ついて歩くでエエんちゃう?」糸子が甘受しようとするが
「え!?セクシーじゃない!男前いないの!?」
「男前?」糸子達は定岡の言葉に戸惑った。
「男前にこういうのさせるのよ!」
定岡は杖をついた高齢の女性と腕組をして歩いてみせた。
「いてる!」糸子が相川の顔をみた。
「やらせましょう」笑みをもらしながら相川が応えた。

― ウォーキングの練習が終了し患者や看護婦達はデイルームを後にする。
その中、看護婦に付き添われて最後に部屋を出て行く患者が糸子には気になった。
総婦長の相川が糸子に近づいてきた。
「小原先生…今更ですけどモデルを1人追加してもらえませんか?」
相川は一枚の紙を糸子に手渡した。

「今、最後に出て行った患者さん…書いてある通り末期のガンです…残念ながら今の医療技術ではそない先ありません。ここだけの話、そない言うてる今の医学かて何んぼのもんかは知りません…いや正直、知れてます」相川は医学に対するジレンマを糸子に吐露した。

「…服かて知れてます。力を信じたいし、信じてる。…けど仰る通りやればやるほど知れてるちゅうことも毎度、突きつけられます…ほんでもご縁をもろたんや…おおきに」
糸子は相川から受け取ったリストを嬉しそうに見た。
「よろしくお願いします」相川は糸子に頭を下げた。

― 夕刻、糸子のショーの練習等を見ていた女性が糸子が待つ部屋に入ってきた。
「失礼します」
「吉沢加奈子さん?どうぞどうぞ入って」
糸子は吉沢加奈子を隣に座らせた。
「お宅、いっつもデイルームの隅っこに座って見てたやろ?さすがの総婦長さんもほだされたらしいで?特別に一人入れてくださいちゅわれてな」
「嬉しい…」加奈子は照れくさそうに呟いた。
「ほんなに出たかったん?」
「はい」
糸子はショーに出たかったという理由を尋ねた。
「子供が2人居てるんです…その子らに見せちゃりたいと思たんです…こない痩せてしもて髪もなくなってしもて…もちろん私も辛いです、でも…母親がそないなっていくのを見てるあの子らの気持ちを思たらたまらへんのです」
泣き出してしまった加奈子の肩を糸子は優しく撫でた。
「主人に連れられて病室に入って来る時のいつも脅えるような顔が可哀相で辛あて…幸せにしちゃりたいのに…悲しませる事しかでけへんで…」
加奈子は遂には泣き崩れてしまう。
「よしよし、よう分かったよう分かった」糸子は加奈子を抱き寄せて肩を叩いた。

「…よっしゃ!ほな今度はうちの話しよか!」
糸子は明るい声で話し始めた。
「うちは今88や!そら88歳も大概なもんなんやで?体はあちこち弱るしなあ…杖ないと歩けんし、いつ死んだかておかしない年よって、いつ会うても娘らの顔には、まず「心配。大丈夫なんか?お母ちゃん」て書いちゃある。
…ほんでもなあ85超えたあたりかいな、ごっついエエこと気付いたんや、教えちゃろか?」
「はい」
「年取るちゅう事はな…奇跡を見せる資格が付くちゅうことなんや」
「奇跡?」
「例えば若い子が元気に走り回ってたかて何もびっくりせえへんけど百歳が走り回っていたらそんだけで奇跡やろ?…うちも88歳なって仕事も遊びもやりたい放題や…好き勝手やってるだけやのに糸がえらい喜ぶんや。老いる事が怖ない人間なんていてへん。年取ったらヨボヨボなって病気なって孤独になる…けどそのウチももう大した事せんでも鰻食べたり酒飲んだりするだけ人の役に立てるんや!ええ立場やろ?フフフ(笑)」
加奈子は糸子の笑顔に吊られて笑った。
「…ほんでな、あんたかてそうなんやで?」糸子は加奈子の手の上に手を置いた。
「え?」
「笑てみ。にぃーって。」
戸惑いながら加奈子は笑顔を糸子にみせた。
「ほれ!ほんでもう奇跡や!末期ガン患者が笑たんや!みんな、末期ガンなんかになったらもう二度と笑われへん思てんのに!あんたが笑うだけでごっつい奇跡を人に見せられる。
あんたがピッカピカにオシャレしてステージを幸せそうに歩く…それだけでどんなけの人を勇気づけられるか希望を与えられるか…今、自分がそういう資格…いやこらもう役目やな…役目を持ってるちゅう事をよーう考えとき」
「はい」
「あんたの出番はトリや。髪はこの頃ウィッグのエエのが何んぼでもあるよってまた相談しよな?…あんたが奇跡になるんやで」
加奈子は小さく何度も頷いた。


【NHK カーネーション第144回 感想・レビュー】

最初、糸子が何の自慢話かと思って見てましたが…最後まで聞いて『なるほど』って思いました。つまり、高齢でも末期がんでも楽しく過ごすだけで皆が喜ぶ=それを奇跡と呼ぶんだぜ!ってことかしら。糸子の言わんとする事は判りましたけど…今回は所々会話が『?』って思うことがありました。総婦長さんの「医学限界論」に対する糸子の「洋服限界論」…あのくだりは一体…。
ようやく今回からセリフと名前が出てきた吉沢加奈子役の中村優子さん…泣けました。
まあ、登場当初から顔のアップだけが映るだけで切なくさせられていたわけですが(笑)