カーネーション あらすじ 『まどわせないで』 第128回(3月5日放送)

昭和60年10月朝、布団を片付け終えた糸子は階段を手すりに掴まりながら降りる。
「こら、里香あんたも起きや!聞いてんけ!?」
>72歳の朝は忙しいです。
「おはようさんです。今日も一日どうかおろしゅうお願いします」
糸子は、神棚にかしわ手を打ち、仏壇に手を合わせた。
>いろんな人がすっかりあっちへ行ってしもて…
テーブルに並べられた写真(千代や玉枝、八重子が写る)に話しかけた。
「はれ?アンタまた倒れてんかいな。しっかりしぃや!」
糸子は倒れていた北村の写真立てを起こした。

>ほんでもあっち行ったくらいで付き合い諦めんのも嫌で何やかんや供えたり
「これうまいで?忠岡堂の新作やて」糸子は饅頭を置き
「せやけどこの膝もよう考えたら長い事頑張ってくれてんで。贅沢いうたらいかん」
>色々、言うてみたり…

その時、長女・優子からの電話が鳴った。
「お母ちゃん…どない、里香?」
「どうて別に何ちゅうことないで?…何も迷惑なことあるかいなこれまで年寄り一人やったんが賑やかなって嬉しいくらいや」
「あの子、昨日の夜、出て行けへんかった?」
「夜?…朝にはおったけどな」
「多分、こっそり抜け出してる思うわ。こっちでも毎晩毎晩出て行ってな…その…オートバイの後ろ乗ったりしてたりして…あんなおかあちゃん、うちあの子を今のミッションスクールに戻さすんは、もう半分、諦めてるんや。せめて公立の高校出もどないか出さんとあの子が何を思てそっちに行きたい言い出したかわからへんけどまあ様子見てなるべく早う東京に帰らせちゃってな。今が肝心の時なんやさかい」

優子の話を聞きながら糸子が時計を気にしているとオハラ洋装店で働いている2人が出勤してくる。
「おはようございます」
「ちょっと浩ちゃん、昨日のあれしときや」
糸子は水野浩二に指示を出した。
「…お母ちゃん、聞いてるか?」
「あ?ああ。むつかしく考えな、チビの事こっちゃ。ヤンチャすることもあるがな」
糸子は優子に面倒くさそうに伝えた。
「チビて…里香はもう15歳やで?ここで下手したら一生棒に振ってしまうさかいな!」
「アホか!あんなチビつかまえて物騒な言い方したりな!」
「せやけどホンマにこれからの三年間で人生決まってまうねん!」
「決まらん!たかが3年で人生なんぞ決まってたまるけ!ついこないだおしめ取れて、喜んじゃったような娘やないか。歩けて喋れるだけで上等やと思っちゃったらエエんや!」
ガチャン!糸子はそのまま電話を切った。

「おはようさん」高齢の女性の客がオハラ洋装店に現れる。
「はれ、おはようさん!でけてんで~ごっついエエの!」糸子は嬉しそうに応対する。
>お客さんらも随分年をとりました。
>年寄りが服を作るちゅうたら、もうせいぜい年に一回あるかないかです。
>ほんならなおのこと、その一回を楽しんで欲しい
>オハラ洋装店はそんなゆっくりした店になりました。

「ええわ!やっぱし!」試着した女性を糸子は褒めた。
「ほうか?」女性は自信なさそうに尋ねた。
「ミサエちゃん、あんた色白いさかい、この柄よう映えるわ~」
「派手過ぎひんけ?」
「何も派手ちゃいますわ!熟女の魅力ですわ~」
試着を手伝う従業員の山口孝枝も褒めちぎるのだった。

>うちは一生オーダーメードだけでやっていく
>その気持ちは今もこれからもずっと変わりません。
>ところで店がゆっくりしても、ウチらがゆっくりできるわけでもありません。

また優子からの電話が鳴った。
「お母ちゃん、昨日の心斎橋店の売り上げってそっちに届いてる?」
>これや…まあこの子らの…相変わらずこの子らの世話の焼けること
>『ユウコ・オハラ』は今や全国に30店舗を構える一流有名ブランドに成長しました。
>社長でデザイナーの優子はとにかく忙しい。

「はあ~ホンマ、親はタダやと思てこき使いよる…」
糸子が電話を切って愚痴を零すと続けて直子からの電話が鳴る。
「お母ちゃん、明日のショー見に来るやろ?岸和田のショッピングセンターの契約書持ってきて。コロッと忘れちゃあったんや」
>直子は7年前にパリコレを成功させました。
>以来、世界を飛び回る有名デザイナーになったんはええけど
>飛び回りすぎていつまで経っても足元スカスカ。

>案外一番手かからんのがロンドンにおる聡子です。
>これはもう遠過ぎて世話も焼きようがないだけやけど…
>こんな聡子も10年前、自分のブランドを興しました


一昨日、糸子の家に転がり込んできた優子の次女の里香を糸子は起した。
「起き!!昼は起きとくもんや!」
糸子は里香の布団を無理やりめくると、そのまま窓を開けた。
「うるせえよ…」里香はけだるそうに呟く。
「ええ天気やな~!どうせ来るんやったら先月来たらよかったのにな。
ほしたら“だんじり”見れたで。アンタ、いくつから祭来てへんかいな?」
「さあ…」
「“だんじり”見てへんさかい、こないグレてしもうたんやで。来年までここおり、ほしたらだんじりみれるさかい。ええで~だんじりは~」
糸子は2階からだんじりが通る道を嬉しそうに見下ろしながら里香に言った。

>昔は走って抜けた商店街も今はゆっくり歩く様になりました。
>ほんでもだんじりは今も昔も何も変わらん速さでこの道を突っ切って行く
「うれしいような…切ないような…」
すっかり様子が変わってしまった商店街を糸子はゆっくりと歩くのだった。


【NHK カーネーション第128回 感想・レビュー】

いやいや、予想以上に良かったと思いますが、皆さんはいかがでしょうか?
今週から違和感がハンパないと予想していたけど、許容範囲です。
ネット掲示板では賛否両論ですが…まあ、違和感があるのは仕方ないでしょ。
私的には72歳を尾野真千子さんが演じるよりは全然いいと思います。
岸和田弁も詳しい事はわかりませんが、特に違和感がないように感じられます。
「どない!?どない!?」って嬉しそうに試着室の客にしつこく聞くシーンでは『おお!糸子だ』と思うほどでした。喋りが遅いのが若干、やり過ぎ感はありますが。
そんなことよりもいつの間にか、ほっしゃんが亡くなってます…。
家や店も豪華になりつつ、恵や昌ちゃんがいなくなって…2人はどうなったか気になる。
まあ、エピローグ的な気持ちで気楽に楽しめばいいんじゃないでしょうか?